風が往き交う場所

カトリックなおばはんの日々の戯書きです。                                   




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老いた病人と・・・。 :: 2008/07/02(Wed)

1週間ほど前のこと。癌の父の定期的な診察の日。
主治医に、父の今の状態について、
それとなく様子を伺ってみたいと、診察に同行することにした。

その日は4時起きして、
いつもは私が送り出す家族に、
戸締り・その他の点検を頼んで、6時半頃のバスで出た。
最寄駅からの私鉄と相互乗り入れしている地下鉄、合わせて約1時間。
そして、上野駅からJR特急。乗ること50分位。
さびれるばかりの地方都市の活性化のために
運行するようになったミニバスで、さらに10分。
兄一家が仕事に出払った後の実家で、父は大きな愛犬と遊んでいた。
父は、今、81才。

病院は、実家から、足が遅い私で15分位。
「タクシー、呼ぼうか。」
と言う私に、
「いや、少しは運動しなくてはいけないから。
いつも、1人で歩いて行っているんだから。」
と、父は答えた。

この、老いた病人が1人で病院に行くということ。
親と離れて暮らす、切ない立場の娘としては、感じることがないでもない。
けれど、父はまだ、自分の足で行動できるのだし、私が騒いではいけない。

父とゆっくり歩いて、10時半の予約時間に余裕をもって病院に着いた。

道々、そして病院の廊下で、父のような人の頭も、けっこう衰えるのだな、と感じた。
もともとお喋りだった。外では心やさしい善人なのだが、家族には辛辣な話し手だった。
それが、老化のために、文字通り理性のタガが緩んだのか、
この数年の間に、のべつ幕なし、周囲の癇に障るようなお喋りをするようになった。
もちろん、話す一方で、相手の話に耳を傾ける力はないに等しい・・。
もともと、そういう傾向はあったのだけれど・・・。
多分、そうやって誰かに訴え続けなくては、自分の存在が不安になるのだと思う。

それにしても、診察の順番がなかなか来ない。
予約時間を2時間も過ぎようとしているのに、呼ばれない。
「私は10時の予約なのですが、まだまだみたいですよ。」
と、隣にいた女性が父に言った。
大病院の常で、3分間診療のくせに、診察が押せ押せになって、
後の人に響いているらしかった。

「病人を長時間待たせるとは・・。混むことが分かっていて、
さばききれないほどの患者を受け入れるとは・・。
医者の勉強をしても、医者はバカだ、バカのくせに患者を低く見る・・。」

始まった・・・。ああ、大きな声。話が終わらない・・。

でも、見渡せば、待っている患者さんは、お年寄りが圧倒的に多いし、
父のような厄介な病状を我慢している方もいるのだと思う。
その割には、健康な者にも座り心地の悪い椅子。
そこに、何時間も待たされていては、確かに疲れるだろうな・・。
体に障るだろうな、何とかならないものかしら・・・。
「父が疲れているのですが。」と、窓口に言っても、
「お待たせして、すみません。」で埒が明かない。
ちょっと横になるベッドくらい、あるだろうに・・。

ついに父は診療科の窓口に行って、
「今日は、くたびれたから帰る。診察券を返して。」

え~~~!お父さん、私、この診察時間に間に合うように、
4時起きで、ここまで来たのよォ!!!
おいそれと、「では、また次のときに。」というわけにはいかないのよ。

病院は慌てて、次の予約を1週間後の朝1番に取ってくれたけれど、
とにかく、父は家路についてしまった。

まあ、仕方がないか・・。
あの日は、お互いの顔を見られただけで、十分だったのかもしれない。


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